令和8年法律第56号 / 2026年7月17日公布

令和8年改正個人情報保護法まとめ

課徴金の算定方法、顔特徴データ等の対象範囲、委託契約に定めるべき事項など、実務に必要な部分は政令・委員会規則で今後決まります。決まったこと・まだ決まっていないことを一次資料だけで整理し、決定が出るたびに更新します。

STATUS / 2026-09-04 確認

公布
2026-07-17
罰則に関する一部規定の施行
2027-01-17
本体の施行
〜2028-07-16 政令で指定
政令・規則にゆだねられたテーマ
11
公布された政令・委員会規則
0 委員会サイトで確認できず

DEADLINE

期限は2つに分かれている

改正法は一度に施行されません。罰則に関する一部の規定が先に動き、課徴金を含む本体はあとから動きます。本体の施行日はまだ日付が決まっておらず、政令で指定されます。

2027-01-17 公布から6か月

罰則に関する一部の規定

公布の日から起算して6か月を経過した日から施行されます。日付が法律で確定している唯一の期限です。法定刑の引き上げと、不正取得罪の新設が含まれます。

〜2028-07-16 日付は未定

課徴金・統計特例を含む本体部分

「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行されます。2028年7月16日が上限で、実際の日付はこれから政令で決まります。

出典: 個人情報保護委員会「令和8年改正個人情報保護法」ページ、および同委員会「改正法の概要」(2026年7月17日)。2026-09-04に本文を確認。施行期日は「原則として公布の日から起算して2年を超えない範囲内」と概要資料に明記されています。

MATRIX

11のテーマは、政令・委員会規則・ガイドラインのどれで決まるか

個人情報保護委員会事務局は2026年8月26日に「政令・規則等で定める事項の全体像」を示しました。改正法を4分類・11テーマに整理し、それぞれについて政令で定めること、委員会規則で定めること、ガイドライン・Q&Aで示すことを条文番号つきで並べたものです。実務の準備がどこで止まるかは、この表のどの列に自社の関心事が入っているかで決まります。

出典: 個人情報保護委員会事務局「政令・規則等で定める事項の全体像」(2026年8月26日)。2026-09-04に本文を確認。「—」は同資料に記載がないことを示します。
テーマ 政令で定める 委員会規則で定める ガイドライン・Q&A
適正なデータ利活用の推進統計作成等の特例 特例の対象範囲(法第2条第13項)、公表の内容・方法、基準適合体制の内容等(法第30条の2、第31条の3、第72条の3) 規則待ち 基本的な考え方・具体事例。「取り扱う必要がある場合」の考え方を含む
適正なデータ利活用の推進目的外利用・要配慮個人情報取得・第三者提供の規律緩和 該当する場合の規定(法第18条第3項第7号、第20条第2項第7号、第27条第1項第8号) 規則待ち 基本的な考え方・具体事例
適正なデータ利活用の推進生命等の保護・公衆衛生向上での同意取得困難性要件の緩和/学術研究機関等への医療提供機関の明示 基本的な考え方・具体事例。「公衆衛生の向上のために特に必要がある場合」の考え方を含む GLのみ
リスクに適切に対応した規律こどもの個人情報 違法行為等の有無を問わない利用停止等請求の例外事由(法第35条第9項第12号) 政令待ち 例外事由のうち「取得の状況からみて子供本人の権利利益を害しないことが明らかである場合」(法第35条第9項第8号)、「一定の主体により公開されていた場合」の公開主体(同項第9号) 基本的な考え方・具体事例
リスクに適切に対応した規律顔特徴データ等 規律の対象となる生体データに係る身体の一部の特徴に係る情報(法第16条第5項)、周知義務の例外事由(法第21条の2第2項第4号)、利用停止等請求の例外事由(法第35条第7項第10号) 政令待ち 周知方法及び周知事項(法第21条の2第1項柱書・同項第6号)、利用停止等請求の例外事由のうち本人の意思に反しない場合(法第35条第7項第9号) 基本的な考え方・具体事例
リスクに適切に対応した規律委託先における個人データ等の適正な取扱い 委託先の義務の免除の前提として委託契約において定める事項及び契約の方法(法第58条の2) 規則待ち 基本的な考え方・具体事例
リスクに適切に対応した規律漏えい等報告・本人通知義務の緩和 本人通知が行われなくても権利利益の保護に欠けるおそれが少ない場合(法第26条第2項、法第68条第2項第1号)、速報の免除・確報の取りまとめ・違法な第三者提供の報告対象化(法第26条第1項) 規則待ち 基本的な考え方・具体事例
不適正利用等の防止連絡可能個人関連情報の不適正利用・不正取得の禁止 規律の対象となる記述等の範囲(法第2条第8項第5号) 規則待ち 基本的な考え方・具体事例
不適正利用等の防止オプトアウト制度の強化 提供先の名称・住所等の確認方法(法第27条第7項柱書)、公開主体に係る例外事由とそれに準じる例外事由(同項ただし書) 規則待ち 基本的な考え方・具体事例
規律遵守の実効性確保勧告・命令等の実効性確保 基本的な考え方・具体事例 GLのみ
規律遵守の実効性確保課徴金の導入 課徴金額の算定方法(法第148条の3第1項・第2項)、「個人の権利利益を害する程度が大きくない場合」として対象外となる範囲(同条第1項・第2項の各ただし書)、消滅・事業譲渡等の場合の適用(法第148条の7第6項) 政令待ち 課徴金額の推計方法、減額のための報告の方法、弁明の機会付与の通知を不特定多数が閲覧できる状態に置く方法等(法第148条の4、第148条の6、第148条の10第2項、第148条の17) 基本的な考え方・具体事例。とくに「違反行為を防止するための相当の注意を怠った者でないと認められる場合」の考え方を含む

同資料には、「個人情報の保護に関する基本方針」(平成16年4月2日閣議決定)についても必要な見直しを行うと記載されています。上の表は資料の記載を項目ごとに整理したもので、条文の文言そのものではありません。条文を確認する場合は委員会が公開している法律本文・新旧対照表をご覧ください。

PROCESS

決定は2026年9月から、この順で積み上がる

同じ資料に、今後の進め方が6段階で示されています。パブリックコメントは最後です。つまり意見公募が始まった時点では、内容はすでに条文案の形になっています。準備の都合上、その手前の「具体的内容の提示」の段階を見ておく必要があります。

  1. STEP 1

    委員会が、4分類・テーマごとに、制度趣旨と国会審議の内容を踏まえた基本的な考え方を示して議論する(論点を何回かに分けて議論することを想定)。2026年9月以降、ここから始まる。

  2. STEP 2

    その議論を踏まえ、事務局が個人の立場・事業者の立場から意見を伺う団体との意見交換を幅広く行う(委員会会合の開催に応じて実施)。

  3. STEP 3

    事務局が団体ヒアリングを実施する。

  4. STEP 4

    委員会が政令・規則等で定める具体的内容を示して議論する(各論点を数回程度に分けて議論することを想定)。

  5. STEP 5

    会合ごとに意見交換を実施する。

  6. STEP 6

    委員会が政令・規則の条文案を示して議論し、その後意見公募手続(パブリックコメント)を開始する。

出典: 個人情報保護委員会事務局「政令・規則等で定める事項の全体像」(2026年8月26日)の「今後の進め方」。2026-09-04に本文を確認。各段階の実施時期は同資料に日付として示されていません。

GAP

いま、事業者向けの手引きは存在しない

委員会の公開物は法令中心

令和8年改正のページに掲載されているのは法律本文・新旧対照表・改正概要のPDFです。事業者向けのガイドライン・チェックリスト・Q&Aは掲載されておらず、同ページには「引き続き、政令、規則、ガイドライン等の検討を行ってまいります」と記載されています。

既存のチェックポイントは令和4年施行向け

委員会サイトの「改正個人情報保護法対応チェックポイント」は、令和4年4月1日施行の改正に向けて中小企業向けに重点を示したもので、令和8年改正への言及はありません。今回の改正にそのまま使えるものではありません。

このサイトがやること

委員会の会合資料を追い、決定が出るたびに上の表とタイムラインを更新します。書くのは「何が決まって、何がまだ決まっていないか」です。法的な解釈の掘り下げは行いません。

SOURCES

このページの出典

数値・日付・条文番号は、すべて下記の一次資料で確認したものだけを記載しています。法律事務所などの解説記事は根拠に使っていません。

ご利用にあたって。このサイトは公表資料を整理した一般的な情報提供であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。自社の取扱いが改正法のどの規定に当たるかの最終的な判断は、顧問弁護士または個人情報保護委員会にご確認ください。政令・委員会規則が未確定の事項について、確定した内容として書くことはしません。